工場や倉庫で多く使われているスレート屋根は、長年にわたり雨や風、紫外線の影響を受け続けます。表面の劣化やひび割れ、固定ボルト周辺の傷みを放置すると、雨漏りや建物内部への影響につながることがあります。
スレート屋根の代表的な改修方法の一つが、既存屋根を撤去せず、その上から新しい金属屋根を施工する「カバー工法」です。今回は、工場・倉庫のスレート屋根にカバー工法を採用するメリットと、工事前に確認しておきたいポイントを解説します。

工場・倉庫のスレート屋根で起こりやすい劣化
スレート屋根は耐久性に優れた屋根材ですが、使用年数や周辺環境によって徐々に劣化が進みます。次のような症状が見られる場合は、早めの点検がおすすめです。
- スレート材のひび割れや欠け
- 表面の色あせ、苔、汚れ
- 固定ボルトや金具の錆び
- ボルト周辺や重なり部分からの雨水の浸入
- 屋根下地や建物内部の雨染み
- 強風時のばたつきや異音
屋根は高所にあり、地上から劣化状況を正確に確認することは困難です。無理に屋根へ上がらず、専門業者による現地調査をご利用ください。
スレート屋根のカバー工法とは
カバー工法とは、既存のスレート屋根を下地として活かし、その上に新しい金属屋根材を重ねて施工する改修方法です。既存屋根を全面撤去する葺き替えと比べて、解体作業を抑えやすいことが特徴です。
ただし、すべての建物で採用できるわけではありません。既存屋根や下地、建物構造の状態を調査したうえで、カバー工法が適切かを判断します。
工場・倉庫でカバー工法を選ぶ5つのメリット
1.既存屋根の撤去を抑えられる
既存のスレート屋根を残して施工するため、屋根材を全面撤去する作業を抑えられます。解体時の騒音や粉じん、廃材の発生を少なくしやすく、工場や倉庫の稼働への影響を軽減できる場合があります。
2.工期短縮につながりやすい
撤去・搬出工程を抑えられるため、葺き替えと比較して工期を短縮できる可能性があります。広い屋根面を持つ工場や倉庫では、工程を減らせることが大きなメリットになります。
3.廃材と処分費の削減につながる
既存屋根を撤去しないことで、発生する廃材の量を抑えられます。処分費や搬出作業の負担を軽減しやすく、環境面にも配慮した改修方法です。
4.防水性と耐久性の向上を図れる
既存屋根の上に新しい金属屋根を形成することで、雨水から建物を守る新たな屋根面をつくります。棟・軒先・ケラバ・設備まわりなどの雨仕舞いを適切に施工することが重要です。
5.建物を使用しながら工事しやすい
建物内部を大きく開放せずに施工できるため、工場や倉庫の稼働を継続しながら工事できる場合があります。実際の施工では、作業範囲や時間、搬入経路、安全対策を事前に打ち合わせます。

カバー工法を検討する際の注意点
既存屋根と下地の状態を確認する
スレート材の破損が広範囲に及んでいる場合や、下地・構造部分まで腐食している場合は、部分補修や別の工法が必要になることがあります。雨漏り箇所だけでなく、屋根全体の状態を確認することが大切です。
新しい屋根材の重量を確認する
カバー工法では既存屋根の上に屋根材を重ねるため、建物に加わる重量を確認する必要があります。建物の構造や屋根形状を調査し、適切な材料と固定方法を選定します。
換気設備や取り合い部分の納まりが重要
工場・倉庫の屋根には、換気扇、排気設備、明かり採りなどが設置されていることがあります。設備まわりは雨水が入りやすいため、現場に合わせて板金を加工し、丁寧に納める必要があります。
石綿(アスベスト)の事前調査が必要
古いスレート屋根には、石綿が含まれている可能性があります。建築物の改修工事では、工事部分の建材について石綿含有の有無を事前に調査し、結果に応じた適切な飛散・ばく露防止措置を講じる必要があります。屋根の年代だけで判断せず、法令に沿って確認することが重要です。

スレート屋根カバー工法の施工の流れ
- 現地調査
屋根材、下地、雨漏り、固定部、設備まわりを確認します。 - 改修方法の検討・お見積り
建物の状態と使用状況に合わせて、材料・工法・工程をご提案します。 - 石綿の事前調査
法令に沿って石綿含有の有無を確認し、必要な対策を計画します。 - 足場・安全設備の設置
墜落防止設備や作業動線を整え、安全に施工できる環境をつくります。 - 屋根材の荷揚げ・下地調整
クレーンなどを使用して材料を搬入し、既存屋根を確認しながら下地を整えます。 - 金属屋根材の施工
割り付けと固定位置を確認し、屋根材を順番に施工します。 - 各部の板金仕上げ・完成確認
棟、軒先、端部、設備まわりを仕上げ、雨仕舞いと固定状態を確認します。


カバー工法が向いている工場・倉庫
- スレート屋根の劣化や雨漏りが気になっている
- 建物を使用しながら改修したい
- 既存屋根の撤去量を抑えたい
- 広い屋根面を効率よく改修したい
- 今後の維持管理を考えて金属屋根へ改修したい
一方で、既存屋根や下地の劣化が著しい場合などは、カバー工法以外の方法が適していることもあります。現地調査を行い、建物ごとに判断することが重要です。
よくあるご質問
工場を稼働したまま施工できますか?
建物内部を大きく開放しないカバー工法は、稼働を継続しながら施工できる場合があります。ただし、安全確保のため、作業場所や搬入経路の制限が必要になることがあります。現場の運用状況を確認して工程を計画します。
工期や費用はどのように決まりますか?
屋根面積、建物の高さ、屋根形状、既存屋根の劣化状態、設備の数、石綿調査の結果、安全設備などによって異なります。現地調査後に、必要な工事内容とお見積りをご案内します。
すべてのスレート屋根に施工できますか?
既存屋根や下地、建物構造の状態によっては施工できない場合があります。部分補修、カバー工法、葺き替えなどを比較し、適切な方法をご提案します。
工場・倉庫のスレート屋根改修は現地調査から
スレート屋根のカバー工法は、既存屋根の撤去を抑えながら、広い工場・倉庫の屋根を改修できる方法です。長く安心して使用するためには、既存屋根の状態を正しく確認し、建物の形状や設備に合わせて施工することが欠かせません。
有限会社堀板金加工所では、工場・倉庫の大規模な屋根改修にも対応しています。屋根の劣化や雨漏り、改修時期が気になる場合は、お気軽にご相談ください。
